『魂』を揺さぶる読み物

出会いと別れ・・・by じゅん@さん  2006-2-10

 その女の子がバレー部にやってきたのは2年前の春でした。

 中学校1年生で身長168cm、サウスポー、ボール投げをさせてもピカ一です。ジュニア経験も有り、すぐに私は惚れ込みました。

 しかし、入部当時に私が毎年書かせているアンケートを読むと「私は責任とかそういうことが苦手なので、絶対キャプテンにしないで下さい」ジュニア時代にキャプテンを経験して、その指導者との間に深い溝が生まれ、心が曲がってしまったようでした。

 「まだ1年生、しかも入部したばかりの態度ではない」私と彼女の心が遠く離れたところにあったことを記憶しています。

 随分彼女とぶつかりました。過呼吸になるくらいレシーブでしぼり、練習後に舞台の上で大喧嘩・・・「何とかこの子を一人前にしたい」その思いだけで毎日練習に足を運んだものです。

 練習試合でもいい加減なプレーで怒られっぱなし、時には我慢できなくて体でぶつかった事もありました。

 彼女のお父さんは元バレーボールプレーヤーで、現役時代はそこそこの成績を収めていたようです。

 そのお父さんは毎週末、練習試合の会場まで選手を車で送ってくれ、1日中彼女達の活動を見ていました。自分もバレーを知っていて、私の指導法も見ている、何か言いたいこともあったと思います。

 でもお父さんは、朝「おはようございます。今日もよろしくお願いします」夕方帰る際に「今日も1日ご指導ありがとうございました」それ以外は、一切口にしませんでした。

 そんな事を繰り返しながら、彼女も3年生になり、チームの中心選手に・・・そんなある日、毎年恒例の横浜遠征が有り、第一試合から彼女の不甲斐ないプレーが連発、私はたまらずに彼女を体育館の裏口へ連れ出し厳しい指導をしている最中、そのお父さんが偶然裏口へ・・・お父さんは気まずい雰囲気を察したようで、すぐに中へ戻っていってしまいした。「お前が敵と戦わなくて誰がたたかうんじゃ〜」「そんなの分かってます」その後もそんなやり取りが続きました。 遠征1日目が終わり、成績が振るわなかったので、私は1人ホテル近くで飲んでいました。すると「コーチ一緒に飲みましょう」振り返るとキャプテンとその子のお父さんでした。

 午前2時頃でしょうか、キャプテンの親はグーグー夢の中です。そんな時その子のお父さんが口を開き「あんたに娘を預けて良かったよ」と一言、私は涙が出そうになりました。「女の子1人で我がままに育ったけど、心の友達と出会い、チームを大切にし、何より仲間を守ってやれなかった自分を不甲斐なく思えるようになった」その晩の事は今でもはっきり覚えています。

 そんな彼女も昨年12月に埼玉の看板を背負って大阪府立のコートに立っていました。今では進路も決まり、バレーを続けるようです。毎日中学校の練習に顔を出し、後輩達に一生懸命指導している彼女を見ると、自分のやってきたことの苦労や悲しみも癒されます。今日も後輩の中でゴタゴタが有り「私達3年生がしっかりしなかったから2年生の人間関係が・・・」と言って涙していたそうです。

 もうすぐ3月、彼女達ともお別れです。また、彼女やお父さんのような人との出会いが自分の人生を大きくしてくれるのかな?そんな風に考える毎日です。乱文お許しを・・・

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一見すると本書は、書店でよく見かける、大昔の常識をそのまま載せた入門書の仲間ようにも見えます。しかし、内容の誠実さは群を抜いて素晴らしいものがあります。

肩書きだけの入門書(元全日本など)とこの本とを同じようなものだと考えると、バレーボール人生において損をすることになるでしょう。

書店にも良く置いてありますのでぜひ一度手にとってご覧下さい。

『基本から戦術まで バレーボール』についての詳しい書評やコメントの投稿はこちら

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