『魂』を揺さぶる読み物
後輩に残せるもの・・・by芭麗人さん 2005/05/16
先日私はたまたま時間が出来たので、地区大会の敗者復活戦の観戦に行ってきました。 県大会最後の椅子をかけて戦ったのは両方とも私のよく知ったチームですのですので複雑な気持ちで両チームの応援(?)をしていました。 両校とも県大会出場が目標でした。 『県大会』それはレベルの高いその地区にあって特別な選手集めしないチームにとって『夢』と言ってもよいものなのです。 試合の内容はこの大会に向けて練習を続けたことを思わせる、手に汗握る戦いとなりました。 結果A高校が接戦をものにしたのです。 勝った瞬間喜びの輪が広がりました。そこには苦楽を共にしたチームメート達と抱き合って喜び、はじけるような笑顔そして嬉し涙がありました。
対するB高校は整列して挨拶を終えるやいなやそこに泣き崩れました。それは体育館の外にも聞こえるような号泣でした。 監督もコーチもそれを見て目を赤くして・・『良かった』とうなずいていました・・ 『良かった』・・???さて何故???
B高校のこと この試合終了と同時にバレー生活に別れを告げる三年生数名中心のチームでした。 実はその中心選手は強豪中学時代の活躍もあり、入学時より活躍を期待されていて、私もこのチームの今後に注目していました・・しかし垣間見る彼女等はやる気があるのか、ないのか? その技術とは裏腹に入学時より何事にも不満が多くて毎日のように監督やコーチとぶつかり、練習試合などでも明らかに投げやりな姿勢でボール追う姿があり、『勝とうが負けようがどうでもいい』といった態度で(それは到底中学時代に厳しい練習をしてきたものとは思えるものではありませんでした)・・監督が再三それをたしなめても反発をするだけで・・とても選手生活をまっとう出来ないだろう・・いや学校自身も続かないのではないか・・『いつやめるのか?』それとも『いつ監督の我慢の限界が来て首にするのか?』と周囲が思うものでした・・実際に何度も『やめたい、他の人達のように遊びたい』と言うのを監督やコーチがなだめすかして時がたちました。 (もしかしたら不本意な進学だったのでしょうか?) そんなことでしたので、次第に・本来絶対に負けるはずがないと言われているようなチームにも勝つことが出来なくなりました、連戦連敗でした・彼女等が軽く扱っているようなチームにも負けました・・そんな現実の前で彼女等も悔しさが出てきたのか?監督の粘り強い指導が功を奏したのか?昨秋くらいから次第に彼女等の目つきが変わってきました。それまでは『どうでもいい』と言う態度から『勝ち』を意識するようになりました。練習にも力が入るようになりました。彼女等の合言葉は『目指せ県大会』・でした。それまでだらしなく着ていた練習着姿も様になってきました。 年を越して春高の予選ではその夢はかないませんでした。しかし負けたときから最後の大会に向けて本格的にバレーに打ち込むようになり今回の大会を迎えたのです。 彼女等は夢に向かって突進しました・・しかし同じように県大会出場を目標としたA高校に惜敗したのです。
あと一歩でした(数点でした) ・・『届きそうで届かなかった夢』・・しかし彼女等が泣き崩れている姿を見て私は彼女等は間違いなく『何かを掴んだ』と思ったのです。、 彼女等が後輩に『一生懸命頑張れば、夢はつかめると思う・・私達はそれに気がつくのが遅かったから・・・』言葉につまって出た次の言葉は 『先生達を信じて私達の分も頑張って欲しい・・そして夢をつかんで欲しい』 『私達は本当にこのチームでバレーをやって良かったと思っている』・・そんなことを言っている彼女等の姿はまったくスポーツマンのそれでした。 二年前の彼女等の顔つき、そして立ち姿を知っている私にとって、B高での学びは本当に素晴らしいものであった・そしてここで掴んだものそれこそが『夢』そのものではないのか・・そう思ったのです。
さてその試合に勝ったAチームの選手がやってきて嬉し涙で私にこう言いました 『素質も何もない私達が県大会に行くことが出来たのはただがむしゃらにやって来たからだと思う。県大会ではとにかく悔いの無い試合をしてきます。その後は遅れている勉強を取り戻したい。県大会という扉をこじ開けることが出来たので・・この後は私達よりバレーの上手な後輩に全てを託したい』
Aチーム、Bチームどちらも素晴らしい最後の戦い(A高は来週県大会があるのですが)をしたと思うのです 私にとって『バレーは勝っても負けてもそこに何かを掴むものがなければ意味が無い』
さて後輩に残すもの・それは必死になってボールをおう姿そのものではないだろうか。
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