スイング動作の本質は?
スイング動作は全身運動のスパイク動作の一部であり、最終段階です。スイングが異なれば他の身体の部分の使い方も当然違っています。「スパイクは腕だけでなく、全身の力を使って打ちなさい」とはよく言われる言葉です。スパイクフォームの分類をするにも全身の動きまでも腕の動きに合わせて考えなければ単に腕の上げ方を知っただけで動作の本質を知る事にはなりません。空中で打つスパイクでは地面の蹴る足の力などをボールに伝える事は出来ませんから、「全身の力」と言われている力は主に体幹の力となります。スイングと体幹の動きの関連性を考えます。
体幹をどう使うか?
体幹の動きはどれも回転運動が基本で、下の三種類があります。運動が三種類あるとは運動の回転軸が三本あることを意味しています。
体幹の使い方はこのどれかの軸を使うわけですが、一つの軸だけでなく、いくつかの軸を組み合わせて使う事も可能です。しかし、中心となる動きはありますから、反りを多く使ったり、回旋を多く使うフォームへと分けられます。
反りを多く使うフォーム
回旋を多く使うフォーム
体幹の動きとスパイクフォーム
両肩を結ぶラインとネットとの関係が各スパイクフォームで「踏み切り」、「バックスイング」、「ボールヒット」の間にどう変化するかを考えてみます。「両肩を結ぶライン」と書いたラインは上半身の体の縦軸の回旋を見る目安となるラインです。
ストレート・アームスイングストレート・アームスイングでは踏み切り、バックスイングの間では体の縦軸方向の回旋はほとんどありません。バックスイングからフォワードスイングにかけての体の軸の回旋がありますが、その量もそれほど多くはありません。しかし、体の反りは多く使われています。ボールを飛ばすエネルギーの多くは身体の後方への反りとその前方への戻しにより得られています。
ボウ・アンド・アロウ・アームスイング
踏み切り時の両肩とネットとの角度はストレート・アームスイングと変わりはありませんが、踏み切りからバックスイングの間にかけて、大きな上半身の回旋が見られます。この回旋はフォワードスイングをする間に戻されてボールを打つエネルギーとなっています。
サーキュラー・アームスイング踏み切りからバックスイングの間に回旋の変化があまり見られません。回旋の変化がない事はストレート・アームスイングにも当てはまりますが、ストレート・アームスイングでは両肩を結ぶ線がネットに対して平行に近いのですが、サーキュラー・アームスイングではネットに対して直角に近くなります。ボウ・アンド・アロウ・アームスイングで踏み切り後、空中で行われる体幹の回旋が、踏み切りの前から「先取り」されて、すでに行われているとも言えるのです。バックスイングからフォワードスイングの間の回旋の戻りはボウ・アンド・アロウ・アームスイングと同じぐらいか、さらに大きいと言えます。
ストレート・アームスイングは打つ時の体幹の回旋が少ないために身体の「反り」を多く使います。一方、ボウ・アンド・アロウ・アームスイングやサーキュラー・アームスイングは回旋を多く使うフォームです。更に空中に跳び上がってから体幹を回旋するボウ・アンド・アロウに対して、踏み切りの時にすでに回旋しているサーキュラーという差があります。
「逆もまた真なり」という言葉がありますが、「スイングに先行する体幹の動きによりバックスイングの腕の振り上げ方は決まる。」と考えてもいいと思います。
(この言葉は非常に深い意味を持ちます。解説は次の機会に譲りたいと思います。)
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