過去ログ倉庫トップに戻る

ボールヒットの手

  昔のバレーボールの指導書からです。ボールヒットする手の良い例と悪い例が解説されていました。


  グーや指を折る形はボールとの接地面積が小さくなり、コントロールがしにくいために手を広げて手のひら全体にボールを当てなさいという指導です。

  上の良い例では手のひら全体がくまなくボールに当たっているように描かれていますが、実際は手のひらの表面には凹凸があり、ここまで全体が当たるとは考えられません。例えば左の絵のようにガラス板に手のひらを置いても触れているところは斜線の部分のみです。



  自分の手のひらを触っていくと手のひらに硬いところと柔らかいところがあることが分かります。
硬いところは赤い楕円の手首に近い部分(正式には「手根部」。今後も手根部と呼びます。)と青い四角の指の股の部分(手根部に対して仮に指根部と呼ぶことにします)に近いところです。手根部は「手根骨」と呼ばれる小さな骨の集合です。指根部としたところは手のひらの皮膚に隠れている中手骨という指の骨の先端部分(骨頭)にあたり、手のひら側に出っ張っています。いずれの部分も上を覆う柔らかい組織(脂肪や筋肉)が少なく、表面から触ると骨を硬く感じます。右の絵のようにこの両方の部分は弯曲した骨の並びとなっていて、手の二つの横アーチとも呼ばれます。

手のどこにボールが当たっているか

  実際のボールヒットの写真では手根部はボールの下半分にヒットしています。ボールの中心には指根部が当ってます。この写真では親指はボールに触れていません。

  別の選手のボールヒットの連続写真です。少し下からのアングルとなっていますが、先程の図で示した「手の硬いところ」を中心にボールヒットをしているのがわかります。手のひらの柔らかいところにボールが当たっても硬いところほどボールには勢いが伝わりませんから合理的なボールへのヒットと言えます。この選手の場合は最後まで指の部分がボールに密着するように当たっているようには見えず、親指もボールから離れています。指は関節が多く、動く部分ですからある意味では柔らかい部分と言えます。積極的にボールに当ててもボールの勢いは増してはいかないのではないでしょうか?あくまでもヒットの中心(積極的にポールに当てる硬い部分)は手根部指根部であり、ボールヒットの必要条件と言えると思います。手の指の部分は受動的にボールに「当たる」部分であり必要条件とは言えないと思います。前ページのブラジル選手の指が反ったような手の形も必要条件を満たしているので、決しておかしなフォームではないと言えます。

前のページに戻る 次のページへ