オリビアさん(olivia@volleyball.ne.jp)によるオーバーハンドパスの素晴らしい解説です。きっと目から鱗が落ちることでしょう。では、どうぞ!
オーバーハンドパス(1/5)
まず、こんな話題から…
あるスポーツ医学の先生からの質問でしたが、「バレーボールのオーバーハンドパスではボールは親指のどこに当たるのか?」という内容でした。
私の印象では(1)の内側か(2)の中央という感じで、(3)の外側はないように感じていましたが、その先生が高校生のバレーボール選手にアンケートをした所(3)の外側と回答した選手がもっとも多かった(!)そうです。
手を開いて、平たいテーブルの上に手のひらを置いてみて下さい。この時、親指以外の指は爪が上を向きますが、親指の爪は斜めを向きます。テーブル面には上のイラストで言えば指の外側が触れている事になります。
さて上の問題の(3)は本当に正解でしょうか?この解については後々に検証していきたいと思います。
オーバーハンドパスは最もバレーボールらしい動作ですが、ハンドリングおよび上のような親指を含めて各指の役割については今まで検討されていないように思います。
左は手の指の骨と関節の名前です。自分の手のひらを眺めると、わかりますが、親指以外の4本の指は節(ふし)が二つありますが、親指には一つしかありません。このため他の指よりも短く、動きも関節一つ分少なくなります。親指の主な働きは手を使う時の支えとなることです。欧米では不器用な人の事を「あいつは指が全部親指で出来ている。」と言う程で、細かい器用な動きの中心ではありません。(DIP、PIP、IP、MPは関節の部位をあらわす名前です。)
しかし、人の指を人の指らしくしているのはまた親指のおかげです。中でも「対立運動」といって親指は他の指と向かい合って指の先端をくっつける事が出来ます。これは「つまみ動作」の原点で、サルをはじめ他の動物では出来ません。
人指し指と親指との対立運動では「つまみ動作」は人指し指の腹(中央部)と親指の内側で行われます。小指との対立は親指と小指の中央同士が合います。器用にコントロールがしやすいのは親指と人差し指との間の「つまみ動作」です。はじめの親指の話に戻ると「対立運動を使いボールをつかみに行くパスではボールは親指の内側に触れる」と言えます。ボールが親指の外側に触れるようなパスでは「手をテーブルの上に置くように開いてボールを当てにいっている」パスです。
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